Sign Tail テレワークやオンライン授業における孤独感を緩和 するユーザインタフェース

岡本研究室 三ツ谷怜奈

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い日本全国に日本全国緊急事態宣言が2020年4月16日に発出された.そのため,不要不急の外出の自粛や飲食店の時短要請など多くの人の生活が変わる事態となった.また,教育機関も同様に,生徒が学校に集まることを避けるため,文部科学省から「遠隔授業の周知を含む令和2年度における大学等の授業の開始等についての通知」がなされた.そのため,多くの学生が一人で授業を受けているように感じ,孤独感をかかえて過ごしている.また,会社などの就労場所に人が集まることを避けるため,多くの企業では在宅勤務や様々な場所で働けるテレワークへの移行が急速に進められた.テレワークに移行することによって,通勤時間などが削減され,社員は時間の確保できるようになり,ワークライフバランスを保てるようになるといった利点がある.一方で,長期的にテレワークを続けていると会社の人と直接顔を合わせないため孤独感を感じ,「相手の気持ちが察しにくい」,「業務の進捗が分かりにくい」といった問題が生じることが指摘されている.
 本研究では,孤独感を緩和するために,気配という,目に見えないが漠然と何かが感じられる様子に着目した.テレワークやオンライン授業における孤独感緩和のために,気配を伝えるインタフェースの制作を目指す.本研究の対象は各作業者がそれぞれ別々の場所にいて作業を行うようなテレワークやオンライン授業とした.

Sign Tail(サインテイル)は,遠隔地にいる人の気配を表現するユーザインタフェースである.ユーザは,テレワークをする人や,オンライン授業を受ける生徒を想定している.Sign Tailは,離れた場所にいる人の挙動に応じて,中央の細い棒が動くインタフェースである.Sign Tailという名称は,しぐさや合図という意味の「Sign」としっぽという意味の「Tail」を組み合わせた造語である.Sign Tailは,オンライン授業を受ける使用者とセンサを付けて気配を送る人の2人がいる.Sign Tail使用者は,本体をPCの横に置き,オンライン授業・テレワークを行う.センサを着用する者は,マスクサポーターに取り付けたセンサを使用してオンライン授業・テレワークを行う.Sign Tail本体の構造は半球の黒いカバーの中にサーボモーターが入っており,サーボモーターの駆動部分に細長い針金とその先にボタンを取り付けている.そしてSign TailはM5stackとつながれており,センサの値をSign Tailに反映する(図3.3).センサは,座った状態の人の挙動をセンシングするうえで最適だったマスクサポーターを用いて,後頭部付近にセンサが来るようにしている.マスクサポーターを用いたため,ハンズフリーになるので,気兼ねなく仕事や授業を受けることが可能である(図3.4).なお,センサは加速度センサを利用した.

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