聴覚刺激提示デバイスを利用した新たな食体験の提案
後藤隆太(柳研究室)
聴覚刺激
健康寿命
おいしさ
01
研究背景
厚生労働省は、健康寿命と食の間には密接な関係があるとしている。食には身体的、精神的健康に及ぼす影響が大きい。しかし、高齢者が利用する介護食は、顎や舌といった口腔周囲筋を使う機会を減少させ、口腔周囲筋の衰えの助長、聴覚や触覚的なインタラクションの低減などのデメリットが存在する。本研究では,食のおいしさに聴覚刺激が与える影響に着目し、介護食にインタラクティブな聴覚刺激を付加する。そして、口腔周囲筋を使う機会を増やし、高齢者が食事をおいしく摂取して口腔周囲筋をはじめとした身体機能低下の予防と食体験を向上させるデバイスを開発し、その有用性を検証する。
02
研究内容
本研究におけるシステムを利用することは、直接的な五感などの単一的な知覚の向上は望めないが、おいしさなどの複合的な知覚の向上は望めることが実験結果と考察から示された。研究目的としていた食体験の向上と口腔機能の低下の予防は、食事のおいしさの向上によって導かれる結果であると捉えている。本実験では口腔機能の低下の予防まで検証することはできなかったが、本実験の結果は食体験の向上と口腔機能の低下の予防に繋がることを示唆している。