飼育下のネズミイルカに対する聴覚エンリッチメントの効果 -音楽呈示と行動発現、生体活動を対象に-

鈴木ほのか(伊藤研究室)

ネズミイルカ

音楽

飼育環境デザイン

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研究背景

音楽を聞いて「元気になった」、「気分がすっきりした」という経験をしたことはありませんか?日常生活の中で音楽の効果を実感する場面は多いかと思います。こういった音楽の効果は、ヒト以外の動物にも現れるといわれています。このような音楽を含む音刺激の効果を利用した、動物の暮らしの質を高める音環境のデザイン(=聴覚エンリッチメント)に注目が集まっています。 聴覚エンリッチメントに関する研究は陸上で暮らす動物に対して行われたものが多く、海で暮らす動物であるイルカに対してはあまり焦点が当てられてきませんでした。「イルカも音楽を聞いて楽しくなったり、リラックスしたりするのだろうか?」と疑問をもち研究を行いました。

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研究内容

研究の目的は、音楽を流している時と流していない時とでネズミイルカの行動がどう変わるのかを明らかにすることです。実験では、おたる水族館に飼育されているメスのネズミイルカ2頭に対して、クラシック音楽を呈示する条件と呈示しない条件を設定し、それぞれの条件でのネズミイルカの行動を比較しました。 その結果、音楽を呈示する条件では、ネズミイルカが水面に浮かんでいる時間が長くなることが分かりました。イルカが水面に浮かんで一定期間静止する行動は、休憩しているときの行動(休息行動)の一種であると考えられ、ストレスや警戒心が高い環境では頻繁に表れないと考えられています。これらのことから、ネズミイルカは音楽によって、「安らぎ」や「リラックス状態」が誘発された可能性があることが明らかになりました。